「Ruby on Rails Light」は、2007年、Naoki Watanabeによって開発されたウェブアプリケーションフレームワークである。
オープンソースで開発・公開をしてきたが、現在は開発終了している。
Ruby on Railsとの違い
- 高速動作
- 低負荷
- 機能限定
高速動作
Ruby on Railsと比較して約2倍の速度が出た。
【比較条件】
- Ruby on Rails側は当時のバージョン(version 1.2.x)
- CGIモード
- 1,000回のPOSTのレスポンスタイム平均(掲示板アプリ)
低負荷
Ruby on Railsと比較して、サーバ負荷も低かった。
【比較条件】
- Ruby on Rails側は当時のバージョン(version 1.2.x)
- CGIモード
- 10,000回のPOSTを実施
ただし、特定のレンタルサーバ業者の独自指標で負荷を計測しているため、他のサーバ環境でも汎用性があるかは不明。
機能限定
Ruby on Railsの細かな機能を削ることで高速化しており、Ruby on Railsの全機能が使えるわけではなかった。
ただ、MVC(Model、Controller、View)での開発や、Model内蔵のORマッパー(find構文など)は独自実装しており、単純なRailsアプリであれば、そのまま移植できた。
用途
2007年当時、Ruby on Railsを使いウェブサービスを開発するには、高価な専用サーバの購入が必須であった。
月額1,000円程度で使えるレンタルサーバでも、一応動作はしたが、生のRubyスクリプトをCGIとして実行する構成のため、ウェブサービスとしての実用的な速度は出なかった。
一方で、MVC(Model、Controller、View)で開発できたり、ModelにORマッパーが内蔵されていたり、当時のRuby on Railsの開発の効率性は「画期的」であり、格安レンタルサーバでも使いたいという要望は多かった。
Ruby on Rails Lightは、
- MVCなどRailsの画期的な開発効率性を
- 格安レンタルサーバ(共有サーバ)でも使う
という用途のために開発された。
高速化技術
「格安レンタルサーバで動くRails」という用途のため、高速化は、主に地道な機能の「そぎ落とし」によって実現した。
- ルーティング相当の機能は .htaccess で実現
- 各種基盤クラスをゼロベースで設計しなおして、徹底的にコード量を減らす
【参考】2008年、他の媒体でも紹介
開発終了
Ruby on Rails Lightは「共有サーバでも動くRails」をコンセプトに開発したため、クラウドの登場により、専用サーバが安価に調達できるようになると、その役目を終え、開発を終了した。
この記事を書いた人

渡辺直木(Naoki Watanabe)
1980年生まれ、一橋大学卒。リーマンショックを機に経営コンサルタントからウェブエンジニアに職種転換。
株式会社カカクコムにて、月間17億PVの情報サイト(食べログ)に参画し、アプリ開発部門、システムインフラ部門、個人課金事業部門のトップを歴任。
スタートアップ企業の職業CTOとして独立し、株式会社CSS-Consulting、株式会社シェアダインの立ち上げに参画。